鷺沢さんが亡くなった。
「大統領のクリスマスツリー」という作品がある。
抑えた、淡々とした文章。描写されるアメリカの風景が、写真のように頭に焼き付いている。古いマンション。水道を叩くガンガンという音。ワシントンの、クリスマスツリー。
(ちなみに、映像化されているが全く違うもの(らしい)ので見たことはない)
鷺沢さんの、抑えた、それでいて情感のある文章が好きで、初期はよく読んだものだ。その頃から卓越した文章力で、いつも唸らされた。
私とは 4 歳しか違わないらしい。ということはデビュー当時からリアルタイムで同年代を生きてきたことになるのか。鷺沢さんの文章を読むと、いかに自分が小さいのかを思い知らされたし、いまもその思いは変わらない。
何があったのかはわからない。
わからないのだが、自殺ということを知ったとき、心の奥底で、私はどこか納得していた。
信じられないという気持ちと、それを納得している自分。二つが混じり合ってその日、心が混沌としたままだった。自分にも起こりうるかもしれないその結末は、鷺沢さんが自ら選んだものなのだ。
しばらく喪失感を抱えたままになると思う。彼女の小説は、もう読めないのだ。
ゆっくりお休みください。いま、どこにいるのだろう。でも、どこにいても、きっとまた書いてくれるのだと思っています。
投稿者 mmoto : 2004年04月17日 23:09 | トラックバック